京都備忘録④〜山谷と西成〜
三日目の朝も遅めの起床。
疲れていると眠りも深くなる。
せっかく平等院鳳凰堂の近くに居るんだし行ってみようかと観光欲が湧いてきたので向かうことに。
平等院鳳凰堂の最寄駅である宇治駅まで一駅であったので徒歩で向かうことに。
15分程歩き到着。
着いてからずっと曇りだったので快晴に照らされる宇治川がやたらと輝いて見えた。
流石連休中の京都。
異国人に囲まれながら並ぶこと5分程で入場。
「おぉ〜10円玉の景色だなぁ」と最も言われてきたであろう感想を呟きながらぐるっと一周。
ぐるっと回って意味もなく裏側なども撮ってみる。
その後、記念館的な場所に入り昔の平等院鳳凰堂の鳳凰に当たる部分の鳥が展示されていたので眺める。
撮影禁止だったので写真はないが10分程見比べていると双方の顔が違うことに気づく。
「あぁ〜顔違うんだなぁ」とまた内容のない感想を呟きながら早々に出た。
観光名所に行ってもいつも満喫出来ている気がしない。
人混みに疲れたので綺麗な宇治川を眺めながら1時間ほど小休憩。
こういう何もしていない時間が意外と記憶にずっと残ったりするものだと思っている。
この日はとりあえず夜に大阪で知り合いと飯を食うことだけ決まっていたのでそれまで京都にいるか大阪にいるか決めていなかったが朝から何も食っていない故、大阪に移動することに決めた。
京都は飯が少ない。
大阪の京橋駅へ来たのは初めてであった。
特に京橋へ来たかったわけではないが京阪線に乗っていると着いたので降りてみた。
昼から大混雑の安居酒屋がわんさかあり2秒で雰囲気に溶け込んだ。
こういうお店もちゃんとあり。
少し昭和っぽい商店街もあり抜き多めの赤羽っぽいなあと思っていた。
どこの地域でも飲む人は飲む。
とりあえず座りたかったので店内で食える形式のたこ焼き屋へ。
大阪来たらたこ焼き。は定番中の定番だがそもそも普段からたこ焼きをほとんど食わないので貴重な機会なのだ。俺にとって。
定番だから食べるのではなく、人生の数少ないたこ焼きを食べる貴重な機会と捉えて食べるべきだよなあと思いながら軽く一杯やり早くも眠くなる。
このままだと満喫か健康ランドにでも行って昼寝タイムを挟んでしまいそうだったので今回のメインイベントをやりに行くことに。
Googl mapで位置を確認し、西成地区へ向かう。
興味を持ったきっかけは何だったのか忘れたが最近ドヤ街に興味を持っている。
ドヤ街とは元々、宿街のこと。
日雇い労働をする人間が集まり、仕事を貰いそこで寝泊まりする集団が組織化すること伴い宿が集結した街。らしい。
詳しくはググってくれ。
初めてそこに行ったのは2016年の12月。
東京は山谷。
事前情報は色々知っていたが情報として知っているのと実際体験するのとでは全然違う。
その時の写真をいくつか貼って見たいと思う。
南千住駅を降り、このでかい橋を渡り少し歩くと泪橋にぶつかる。そこを越えた所がいわゆる山谷と呼ばれる地域である。
明日のジョーで有名な所らしいが明日のジョーを読んだことがないので大した感動はなかった。
交差点を超えると定番の安い自販機がまずあった。
一応買ってみたが普通に美味いジュース。
これもドヤ街定番。
山谷地区だけで何箇所か見かけた。
コインロッカーとコインランドリーが併設されている施設、というか置屋。
昔はここに集まった人間が仕事に行く前にここへ荷物を預けて、帰って来たら衣服を洗濯していたのではないかと思われる。
今はあまり使われているようには見えなかった。
商店街の脇にある協会。
炊き出しや配給の日程が書かれた紙が貼っており毎日一食は何かしらの形で食料がもらえるらしいことが分かった。
ちなみに商店街の中はいわゆるシャッター街で数人で地べたに座って掛札やトランプをしている人間と横になっている人間がいるだけ。
既に街としての機能はほとんどしていないんじゃないかというのが感想。
年越しのお知らせ。
結局この越年越冬にも来た。
行政に対する反乱の一言では表しきれないような、複雑に過去が絡み合っている場所であることがぼんやりと見えてくる。
この看板の近くに
娯楽室の張り紙がある地下への入り口が。
この辺から空気がやばくなってくる。
雰囲気といえば雰囲気なのだが何かがやばい。
やばいと分かりながらとりあえず中に入ってみる。
命をまで取られることはないだろうし怒られたら謝って退散すればいいくらいの気持ちで奥に進んで行った。
こういう階段を進んでいき
入り口に辿り着く。
どう考えてもやばい。
別に何かを待っている訳ではない。
ただこの地下の少し暖かい椅子がある空間に男が3、40人いるだけなのである。
大半は黙って目を閉じておりグループで談笑している様子も見受けられた。
俺もここに1時間程居たが明らかに場違いな年齢な男がいるにも関わらず特に関与されることもなかった。
こういう興味半分で来る奴らが多い故慣れているのか。
俺には他人に干渉する気力もないように映った。
他人が他人に干渉するのは暇だからなのだ。おそらく。
俺も特に何をする訳でもなくただそこに居た。
こういう布団をまとめたものが至るとことにあった。
唯一やって居た商店街の店員さんに聞く所、最近は野宿もかなり減っているらしい。
ではこれは何なのか。
よく分からないがとにかくたくさんあった。
娯楽室の地上。
日本にしては捨てられたゴミが多い地域である。
この山谷という地域。
基本的にほとんど人がいない。
一応でかい道路を挟み大きく2つの範囲に分けられているらしいが本当に人がいない。
先程も述べたようにシャッター街に数人いるか、こういう何でもない路地に数人が溜まっているだけである。後はほとんどが娯楽室にいるのだろう。
街に活気どころか何もない。ある意味異空間。
ただ寂れている田舎ともまた違う。
退廃した末の無。
街が死んでいるというのが正直な感想。
ちなみに大晦日に来た時は人がたくさん居た。
越年越冬と名売ってるだけあって年越しに向けた活気がある街となっていた。
この日は友達と二人で来た。
ゲストハウスというか宿泊所の前での一枚。
ちなみに宿泊料金は一泊3、4千円のところが多くそんなに安い訳でもない。
越年越冬の炊き出しの様子。
皆が協力して炊き出しを作る。
器具は昔からあるもだろうが、食材の出所がどこか分からない。
行政なのか、集金されたものなのか。
見ているだけなのも悪いので炊事を手伝わせてもらった。
ありがたいことに分けてもらった。
具沢山の雑炊。美味かった。
ここ山谷には玉姫公園というシンボル的な公園がありテントが貼られており中では楽器の演奏や芝居など娯楽が開催されていた。
中に入って観ているとみかんを貰った。
この日は終日色々な演奏団や劇団の人達が来てくれていてこの後路上で地べたに座りこみ数十人で劇を観た。
普段ここ山谷地区に住んでいると思われる人たちも演者として楽しんでおり大いに盛り上がっていた。
俺達はここで帰ったがこのようなことが年末年始の七日間行われているらしい。
使い終わった調理器具やパイプ椅子などは前述の教会の二階にある置き場所に持って行った。
俺たちも普通に手伝っていたが特に何も突っ込まれることはなかった。
団結力は非常に強いと感じる反面、来る者拒まず去る者追わずの姿勢が感じ取れた。
だからこそ居心地は良い。
山谷の中でも一応大通りを挟みグループが二つに分かれているそうで、そのうちのA組（仮）のグループ長の話を聞くことが出来たがとにかく0〜10まである歴史の話を5辺りから話すものだからほとんど理解できず、とにかく昔はヤク◯絡みで人が死んだだのそういった話であった。怖いのであまり詳しくは書かないが。
その歴史が描かれている自作映画がその何日か後にやるからおいでと誘われた。
興味はあったが都合がつかず行けなかった。
その時知り合ったスリランカ人と連絡を交換しその後も何度か山谷訪問はしたが連絡が取れなくなり最近はめっきり行かなくなっていた。
山谷の路地からスカイツリーは見える。
何処で見るより皮肉な程綺麗に見える。
近々また行こうと思う。
話は戻り先日の大阪、西成訪問。
まあこんなこともあり個人的に西成に行くのを楽しみにしていた。
環状線沿いなので当たり前なのかもしれないが、新今宮駅は南千住駅に比べると随分栄えている。
若者も観光客も多く本当にここにドヤ街があるのか疑うレベルであった。
新今宮駅を降り大きな交差点を渡るとすぐに西成地区と呼ばれるエリアに入った。
山谷と比べると随分最寄り駅から近い。
南千住駅から徒歩10分程離れている山谷はどこか隔離されているような印象があるがここ西成は街と一体化しているといったようなイメージだ。
そのことが凄く意外だった。
西成の関連画像で何度も見た50円自販機。
一応買ってみる。
普通に美味いジュース。
自販機が押し込まれている小さい倉庫。
徐々にドヤ街感が出て来る。
昔の名残を残しているコインロッカー。
これも山谷と同じように今はそれほど使われているようには見えなかった。
西成地区は人が比較的多い。
というより人だけで言ったら割と普通の街。
すごく普通の街の中に西成という地区が存在しておりそこの路地ではやはり花札やトランプを楽しむ人達、縁石に腰掛けて横になっている人達がいた。
食の大阪と呼ばれるだけあって山谷と違い気軽に食べれるところが多かった。
山谷には何か食べれるところがほとんどない。
割とそっち系の方々が多かったので写真は控えた立ち食いうどんや、たこ焼きやなど賑わっていた。
おっ公園発見！と思ったが写真奥には人がたくさんおり何となく悪い意味でやばそうな予感がしたので入るのは控えた。
玉姫公園的な場所なのだろうか。
この日はせっかく西成に来たというのに何故だか何となく日和っていた。あまりにソッチ系の方々とすれ違った影響か。
少し悔いが残る初来訪であった。
休憩所発見。
とりあえず覗いていけそうだったので入ってみる。
長い路地が続いており壁沿いにベンチが置いてあった。
何かしらの反発運動呼びかけのポスターも見かけたが、山谷のような直接的に行政に対する反発を仄めかすお知らせ等は見受けられなかった。
微妙な違いではあるがあまりそういった運動がないのであろうか。
それとも公にはせず運動等を行なっているのだろうか。
詳しいことは何も分からなかった。（ググれば分かりそう）
とりあえず路地中間部あたりのベンチに腰掛けて一服してみる。
洗濯物がたくさん干してあった。
みんなここに持って来て洗うのだろうか。
ランドリーに乾燥機があるとはいえ、確かに街中で大手を振って洗濯物を乾かせる場所もないよなあと思った。そう言った意味で重宝されている場所なのかもしれない。
シェルターと言うだけあり室内にも入れそうだったので入ってみる。
山谷の娯楽所よりは若干広くテレビも付いており人も少なかったのでそんなに淀んだ空気間もなかった。
一応入り口でタッチパネルの質問をされるようになっており「男性」「20代」とそのままを答えておいた。
無料で飲める飲み物もあり冷たいお茶を貰い15分くらい休憩してここを出た。
山谷と同じく誰も一瞥をくれることもなく場違いの男に対して終始無干渉であった。
やはり居心地は良い。
ぐるっと見た限りここが最安値であった。
全体的に一泊1000〜1500円程度であった。
宿泊相場は山谷と比べると随分安い。半額以下である。
帰りがけ何か警察とトラブルになっている酒飲みがいた。
山谷でも変わらない光景を見たがその時隣に居たおっちゃんが「貧乏人ほど争う、金持ちは争わない」と言っていたのを思い出す。一概にそうとも言えないのではあろうがその傾向があるのは間違いないだろう。
初西成来訪は2時間足らずで終わった。
終始日和っていたこともあり悔いが残る初訪であったので次訪までしっかり反省しようと思う。
あまりに長くなりすぎたので一回ここでお終い。
